同志諸賢に残念なご報告があります。
これまで自分はあらゆる屁理屈を動員して「腕立て伏せの不必要性」を証明し、これを回避しようと試みてきましたが、どうやら徒労に終わったようです。
そして当初の目論見に反して「腕立て伏せはできるだけやった方がいい」という、しょうもない結論に至ってしまいました。なんといいますか、いつもながら都合よくいかず本当に申し訳ありません。
ここはひとつ、自分と同じく腕立て伏せをミリタリーや体育会系の罰ゲームだと考えておられる同志諸賢にも、少しだけ思考をシフトしていただければと存じます。
本稿では「デブこそやるべき腕立て伏せ」について考察いたします。
腕立て伏せ=罰ゲーム?
自分の中で、「腕立て伏せ」は長い間「罰ゲーム」とほぼ同義でありました。
「負けたら腕立て50回だぞ、わかってんのか」というのはバスケ部の三井君のセリフですが、若い頃の自分はまさにこの「○○したら腕立て○回」に翻弄される日々でした。
毎日の部活で腕立て50回、同期がなにかやらかしたら連帯責任で腕立て50回、ヒザをついて上半身をカクカクしてるだけなのがバレたらさらに追加で50回・・といった具合です。
当時から負荷運動がキライだった自分にとって、やらされることはあっても自分から進んで腕立てをやることはほとんどありませんでした。
そんなわけで、自分としてはできることなら腕立て伏せなどしなくてもいい人生を強く望むようになってしまったのでありました。
ラクショーな日々の代償は
中年にさしかかって初めて事務メインのサラリーマンに転職した時は、腕立て伏せと無縁になったヨロコビにうち震えたものであります。
サラリーマンとして生きる分には腕立て伏せは必要ありません。東京中央銀行の方に倍返しされたら土下座はしないといけないかもしれませんが、腕立て伏せは必要ありません。
なにか失敗しても腕立てをさせられることのない毎日。
これこそ自分が望んだラクショーな生活・・だったのですが、そんな自分を待っていたのは、10代の頃と数値が完全に逆転してしまった胸囲と腹囲でありました。
信じられないほど肥大化した下腹と、反比例するようにやせ細っていった腕。まるでザメルのような極端なシルエットへと変貌を遂げたマイボディを鏡で見ては、「どうせこのデカブツは・・」と躊躇いの吐息を漏らしたものです。申し訳ありません、デラーズ閣下。
かかる事態を招いてしまった要因はいくつもありますが、その一端が腕立て伏せをはじめとする負荷運動を回避しまくったことにあるのは明白でした。
あれほどイヤだった腕立て伏せですが、今度は「どうやったら無理なく効果的な腕立てができるだろうか」とシフトチェンジをすることになったのでありました。
あんなにイヤがらずに、少しずつでも続けていれば・・と嘆いても後の祭りなのであります。
デブでもできる腕立て伏せ
あらためて、40代の重MSと化してしまった自分でもできる腕立て伏せを考えなければなりません。
イロイロ試行錯誤した結果、たどり着いたのが若い頃に否定されたあの方法でありました。
そう。ヒザをついて負荷を下げるアレであります。
腕立て伏せの何がイヤって、「腕立て」と言いながら腕だけでなく体幹への負荷が異様にデカいことです。正しいフォームで腕立てをすれば腕と同時に体幹も鍛えることができるので、本来は「一石二鳥のトレーニング」なのですが、自分のような腕ヨワヨワ体幹フニャフニャの中年にとってはただただ全身が2倍キツいだけなのであります。これではなかなか実行に移すこともできません。
ここは「腕」と「体幹」を分けて考えましょう。すなわち、体幹トレーニングはプランクなどに譲って、腕部に集中するべく腕立ての負荷を下げるのです。
といってもヒザをついて上半身をカクカクさせるだけではいけません。「ヒザつきカクカク」に大した効果が期待できないのは、岬商業高校の名古屋君が実証済みであります。体幹への負荷は下げてよいものとしますが、腕の曲げ伸ばしはしっかり大きく行います。
両ヒザを地面につけることで体幹への負荷が下がるので、腕の運動に集中することができます。
「ヒザつき」でもキツい場合は、お腹あたりまで地面につけてもOKであります。脚〜体幹のことは忘れて、完全に上半身だけの運動と割り切りましょう。ジオングやハンブラビみたいなイメージですね。
あとこれも大事な要素なのですが、一度に行う回数は10回くらいまでに設定するべきと考えます。
ヒザつきカクカク50回より、しっかり胸まで地面に着けるフォームを10回おこなう方が高い効果を期待できます。
同志諸賢にも、ぜひ負荷を下げた無理のない腕立て伏せを習慣にしていただいて、その効果を実感していただければと存じます。
もしも貴官がなんらかの理由で土下座に近い姿勢そのものに強い抵抗感をお持ちであれば、無理せずアームバーなどで代用をお図りください。
- 腕立て伏せは腕と体幹を同時に鍛えられる一石二鳥のトレーニング
- だが、腕も体幹も弱ってしまった中年男性には難しい
- いったん体幹は忘れて「ヒザつき腕立て」を習慣に
- 一度に行う回数は10回まで