現代人の肥満の原因のひとつが「遅い時間に夕食を摂ること」であります。ダイエットの教本にも必ずといっていいほど「夜に食べるな・食べすぎるな」と載っております。
しかし、そうはいっても1日働いて帰宅した後の夕食の時間はなかなか自由にコントロールできません。また平日の3食のうち唯一、時間を気にせず楽しめる夕食の内容を制限するのも難しいものです。
本稿ではムサイ級軽巡洋艦 ファルメル艦長代理・ドレン少尉をモデルケースに「夕食で太らないための3段戦術」を考察したいと考えます。
ドレン少尉とは
ドレン少尉(最終階級・大尉)はアニメ『機動戦士ガンダム』に登場する架空の軍人です。ドズル・ザビ中将の密命を受けたシャア・アズナブル少佐の特務部隊に副官として赴任した人物であります。
連邦軍のモビルスーツ開発計画『V作戦』を追うシャア少佐に与えられた特務艦・ファルメルの艦長代理として少佐の活躍を陰から支えた功労者です。
とはいえ、実際に『V作戦』に接触してからのドレン少尉自身はそこまで目立った戦功も昇進もなく、シャア少佐がガルマ・ザビ大佐護衛の任を果たせず左遷された後にどこか別の戦場で武勲を挙げて大尉にまで昇進しております。このあたり「シャアと一緒にいると出世できない」と揶揄される一因であります。
ドレン大尉は最終的にムサイ級3隻に艦載機 MS-09R リック・ドムで編成されたキャメル・パトロール艦隊の指揮官に収まり、なぜか左遷明けに2階級昇進して復帰したシャア大佐とともに再びホワイトベース隊と相まみえますが、とうとうRX-78ガンダムの攻撃により僚艦ともども撃沈されて亡くなられます。
せっかく叩き上げから大尉にまで昇進した矢先に、ここでもシャア大佐と関わったばかりに麾下部隊もろとも撃破されるという悲劇に見舞われております。
ドレン大尉は最後までムサイに縁のある方でした。そしてここが肝心なのですが、ドレン大尉はどちらかというと肥満寄りの体型をしておられました。宇宙世紀の叩き上げ士官にはなぜか肥満気味の方が多く、ドレン大尉もそんなスリムならざる士官の一人であったのです。
ここから「ムサイ級軽巡の食生活は士官の肥満を生みやすい」という仮説が浮上しました。
ムサイの食堂はどこに?
宇宙の男の艦隊勤務は月月火水木金金。航宙艦はほとんど浮上しない潜水艦にずーっと乗務しているのといっしょであります。
そんな過酷な勤務体系では食事に唯一の楽しみを見出す者がいてもなんら不思議ではありません。ドレン少尉もシャア少佐の副官というストレスフルな立場の方でしたので、食事に楽しみを見出した士官の一人であったと考えるのが自然であります。
では、ドレン少尉が食事を摂っていた食堂はどこにあるのでしょうか?
上図はファルメルではなく一般的なムサイ級軽巡洋艦ですが、基本的に同型艦ということで考察を進めます。
左右両舷後方に配置された熱核融合ロケットエンジン区画、それにメガ粒子砲やミサイルランチャーなどの武装が集中している主艦体と艦橋の中間部に食堂があるとは考えられません。第一艦橋も第二艦橋も食堂と同居させるには小さすぎます。当然、艦首のコムサイも対象外です。
となると食堂の場所は主艦体のどこかであると考えられます。自分はてっきりムサイの艦載モビルスーツは主艦体に格納されていると思っていたのですが、あらためて映像資料を確認するとMSデッキはあきらかに艦橋の直下にあります。えーっ、あんな小さな区画に18mクラスのMSが4機も!?
では、あの巨大な主艦体区画にはいったいなにが・・。もしや舷側に3つ並んだ長方形の構造は食堂の窓なのでしょうか? だとしたらMSデッキの2倍くらいの巨大な食堂が備わっていることになります。
左右に大きくせり出した4基の煙突のような構造も、自分はMSの緊急冷却装置だとばかり思っていたのですが、じつは厨房の換気扇から続く排気口なのかもしれません。なんという食事環境の充実ぶりでしょうか。とても戦闘艦とは思えないレベルであります。
加えて、ムサイの食事がもしも潜水艦と同様に1日4~6食のサイクルを採用していて、3食のほかに夜食や中間食もとっているとなると、よほど気をつけないときわめて肥満リスクが高い環境であると言わざるをえません。
ドレン少尉が肥満を抜けだせなかったのも無理からぬ話というものです。
夕食で太らないための3段戦術
ムサイのことを笑ってばかりいられません。飽食にさらされている環境は我々も同じです。食べ過ぎから我が身を守るべく他山の石とするべきであります。
特に注意を要するのはやはり夕食です。
夕食は日々の生活における楽しみのひとつです。時間に追われる朝食、仕事の合間のせわしない昼食とちがって夕食は余裕をもってとれる唯一の食事です。
ただ残念ながら夜の食事はダイエットの大敵です。交感神経がよくはたらいてエネルギーが消費されやすい朝~昼とちがって夜は副交感神経がはたらく「お休み・貯蔵モード」に切り替わるからです。
「なら夕食を抜けばいい」という極論もありますが、当スリム教導隊は人生の楽しみを大きく奪うようなストイックな部隊ではありませんので不採用です。もう少しハードルの低い方法を3段階に分けて設定したいと思います。
夕食で太らないための3段戦術
①なるべく早い時間に夕食を終了する
作戦の第一段階は「なるべく早い時間に夕食を終了する」です。
食事の時間が遅くなればなるほど、脂肪として身体に蓄積されるリスクが高まります。可能な限り早い時間、たとえば「夜8時まで」という時間の目安を設定して早めに夕食を切り上げます。
②糖質を少なめにして野菜と肉・魚を中心にする
どうしても食事の時間をコントロールできない場合は食事の内容を調整します。エネルギー源として蓄積されやすい糖質を少なめにして、野菜と肉・魚を中心としたタンパク質・ビタミン・ミネラル・食物繊維が主体の食卓にします。
米・パン・麺類の量は控えめに、夕食後のデザートも糖質を多く含むものはあきらめましょう。また、1食まるごとプロテインに置き換えるような極端な方法もNGです。
「冷しゃぶサラダ」など、バランスのいいメニューを採用します。
③食後に軽く運動する
作戦最終段階は食後の血糖値急上昇を抑制するため「食後に軽く運動する」であります。
食後に運動することで摂取したエネルギーを少し消費するとともに、副交感神経モードへの移行を遅らせて貯蔵を抑制します。あまりやりすぎると適切な消化吸収や睡眠の妨げになりますので、ほどほどに。就寝の直前には筋トレではなくヨガのようなゆったりとした運動が推奨されます。
自分の場合、食事〜就寝時刻まで3時間程度の猶予があるときは「巻き上げ」と「スクワット」、それに「エアハイポート」を2分程度おこなっております。
飽食艦・ムサイに乗務するドレン少尉にも、同じく飽食の時代にそれぞれの戦場で日々奮闘している同志諸賢にも参考にしていただければ幸いであります。
ドレン「ようやくわかりましたよ、シャア少佐。よしんば食事が夜遅くなっても糖質を減らし、さらに軽く運動することで吸収を抑制する、3段構えの作戦ですな」
シャア「戦いは非情さ。そのくらいのことは考えてある」
- 遅い時間に夕食をとる習慣は肥満のもと
- ムサイの食事は我々と同じで気をつけないと太る飽食の環境
- 夕食で太らないための3段戦術:
- なるべく早い時間に夕食を終了する
- 糖質を少なめにして野菜と肉・魚を中心にする
- 食後に軽く運動する