我われ40代男性の肥満の一因は「背筋力の不足」にあるかもしれません。
男性のダイエットではキレイに割れた腹筋に目が行きがちですが、前にかがむ力である腹筋力ばかり鍛えていると背筋とのバランスが崩れて姿勢が悪くなってしまいます。姿勢が悪くなると内臓が圧迫されたり血流が悪くなったりと、いいことがありません。
腹筋だけでなく背筋こそ意識して鍛えるべきと考えます。そして背筋を鍛える代表的なトレーニングが「懸垂」です。
とはいえ、いきなりフンフンと懸垂運動(アゴをバーの上まで上げる=チンニングもしくはチンアップ)を行うのはダイエット初級の段階では往々にして不可能です。
本稿では初心者にやさしい低負荷運動「斜め懸垂」について報告いたします。
「斜め懸垂」とは
「斜め懸垂(インバーテッドロウ)」とは、読んで字のごとく身体を斜めにしておこなう懸垂運動であります。鉄棒などにぶら下がって垂直にアップダウンする一般的な懸垂運動(チンアップ)とは区別して考えます。
地面に足がついているためチンアップより負荷が小さく、まだ体脂肪が落ちていないダイエット初期の段階からおこなうことができる自重筋トレのひとつです。
以前は小中学校のスポーツテストで女子の種目として採用されておりましたので、もしかしたら自分と同じ40代くらいの男性には「女子のやるものでしょ」といったジェンダーな認識をお持ちの方もいるかもしれません。
しかし、斜め懸垂こそ我われのような中年の男女いずれにも推奨される立派な懸垂運動なのです。そしてダイエット目的の運動としてもなかなかのインパクトが期待できるのであります。
できないことにチャレンジするより、できることを継続する方が大きな結果を期待できます。
ぜひ長期継続する習慣として取り入れましょう。
斜め懸垂に期待できる効果
斜め懸垂をおこなうことで期待できるおもな効果は以下のとおりです。
斜め懸垂の効果
1.「広背筋」を中心に背中の筋肉が鍛えられる
まずはなんといっても身体の中でかなり大きな筋肉である「広背筋」を鍛えることができます。
大きな筋肉を鍛えることは運動代謝を上げる早道ですので、背中を鍛えることはダイエットにとって非常に有効であるといえます。
広背筋だけでなくそのサポートの役割を持つ脇の下の「大円筋」、首から肩にかけての「僧帽筋」など、背中全体が総合的に鍛えられます。
僧帽筋を極限まで鍛え上げればギレン閣下のようなスゴイ首筋になることも不可能ではありません。
2.上腕二頭筋が鍛えられて腕が太くなる
腕を大きく使うので「上腕二頭筋」が鍛えられます。
腕の筋肉は広背筋と比べて小さいのでダイエット効果はあまり大きくありませんが、細かったりプヨプヨだったりするより太くたくましい二の腕の方が実用的だしカッコイイです。
ドズル閣下のようなスゴイ二の腕になることも不可能ではありません。
3.姿勢が良くなって体調が改善する
背中全体が鍛えられることで猫背が解消されてスッと姿勢が良くなります。
これにより内臓が圧迫されたり血流が悪く肩こりがひどかったりといった体調の改善が期待できます。
キシリア閣下のようなスラっとした立ち姿勢も不可能ではありません。
「懸垂バー」を使った斜め懸垂のやり方
※実写で失礼いたします。
1.バーを腰~胸くらいの高さに設置します。バーが低いほど負荷が強くなります。
2.バーの下に身体を入れてバーを掴み、体を一直線にします。
3.腕を曲げて身体を引き上げ、バーに胸を着けます。
4.ゆっくりと最初の位置まで身体を戻します。
※3と4の動作を5~10回くり返します。腕だけでなく背中の筋肉を意識して使います。
おすすめの懸垂バー
斜め懸垂にはドア枠に設置するストレートタイプの懸垂バーがおすすめです。他にもさまざまな形状のバリエーションがありますが、自分が使用しているのはこちらのシンプルなタイプです。斜め懸垂にはアレコレついていなくても大丈夫であります。
グリップパッドが標準装備されており、握った際の手のひらへの負荷を低減できます。
無段階調節で最大90cm幅くらいのドア枠であればどの高さにも設置することができるので、バーの高さを自在に調節できるのが最大の魅力です。これによりその時その時で自分に適した負荷をかけることが可能になります。
機能と関係ありませんがちょっとライトセイバーに似ていて気分をアゲてくれたり・・は、自分だけかもしれません。振り回さないようにしましょう。
インテリアのつっぱり棒と同じ原理なので使用前は強度に不安がありました。しかしカタログスペックで耐荷重量100kgと懸垂運動には十分な強度を発揮できるようです。自分が使っていても滑ったり外れたりということはまったくありません。
使用後は誰も届かない上の方に設置しておくか、ドア枠から外してしかるべき場所に収納します。腰~胸の高さにつけっぱなしにしておくと優秀なトラップと化してしまうので家族全員が解除能力のあるレンジャーでなければ必ず片付けます。
自分は受け身ができるので使用しておりませんが、万一にも外れる可能性に備えて下に体操マットや布団などを敷いて使えば万全です。
また斜めの姿勢で足がズルズル滑る場合は室内用シューズを履いておこなうと滑りを防ぐことができます。自分は非常に軽くて足によくフィットするアシックス社製室内用ハンドボールシューズ『GEL-DOMAIN 4』を使用しております。
背筋を鍛えて心も鍛える
背中を鍛えることは大きなダイエット効果が期待できるだけでなく、姿勢の改善とそれに伴う各種の体調不良解消につながります。
自分もモビルアーマー体型だった頃はひどい猫背で、何事にもやる気がなく世を儚んでばかりおりました。
大げさに聞こえるかもしれませんが、姿勢の改善はダイエットや物理的な体調不良だけでなく心の調子も整えてくれます。少しでも「痩せたい」「よりよい存在になりたい」と思ったら、まずは背中を鍛える習慣からトライしてみてください。きっと前向きな気分になれます。
余談:モビルスーツの背筋って・・
モビルスーツの「背筋力」はかなりナゾです。
人間の形状を模したモビルスーツも前方の重量物を持ち上げたりすることがあるので「背筋力」はあるはずですが、背筋に相当するアクチュエーター類が確認できるモビルスーツはほとんどありません。背中にあるのはたいていバーニアです。
GP-02Aの背中にあるのはバーニアではありませんが、やはり背筋ではなく核弾頭コンテナでした。ゼータガンダムもウエイブライダーへの変形機構を見る限りボディ内に背筋に相当する稼働部分があるようには見えません。
これはもう腰・股関節・大腿部・腕部など人間の背筋とは異なる部位のパワーで疑似的に「背筋力」を再現しているとしか考えられません。
現実的に人間サイズでパワーアシストを実現しようとするとき、主眼となるのはモビルスーツとは逆に腰あるいは背筋の補強が中心であります。
ダウンタウン・浜田雅功さんのCMで話題になった『マッスルスーツ Every』もどうやら腰・背筋力の補強がポイントのようです。
果たしてここからさらに進化して人間が“着る”パワードスーツから“乗る”モビルスーツになる日は来るのでしょうか・・・? 淡い期待を抱いております。
- 懸垂運動は背筋を鍛えるのに有効
- 斜め懸垂であればダイエット初期でも実行可能
- 「懸垂バー」を使えば高さ・負荷を自由に調節できる