ダイエット時に推奨される筋トレとして真っ先に挙げられるのが「スクワット」であります。
太ももや臀部の大きな筋肉を鍛えることで運動時の消費エネルギーがアップするので、おのずと体脂肪も燃焼しやすくなるという寸法です。
しかしながらスクワットはミリタリーの基礎教練で「腕立て伏せ」と並ぶ鉄板ハードメニューです。腹部に余剰な重量を抱えているうちは実施・継続が難しいという一面もあります。
「ダイエットに有効」であるにもかかわらず「ダイエット初期には実施が難しい」という矛盾を抱えているのです。
せっかくの高効果トレーニングを取り入れないのはもったいないので、ダイエット初期でも実施できるように工夫してみましょう。
本稿では「スクワット」について考察いたします。
スクワットの効果
「スクワット」は「ベンチプレス」「デッドリフト」と並んで「3大筋トレ」のひとつに数えられるド定番メニューです。
スクワットの主な目的は人体の中で最も大きい筋肉のひとつである「大腿四頭筋」と、カッコいいケツを形づくる「大臀筋」、それに太ももを内側から支える「内転筋」を鍛えることであります。
脚まわりの筋肉を鍛えることは身体機能の強さに直結します。またウォーキングなどの運動を行う際、同じ挙動でも消費エネルギーが大きくなるのでダイエット効果を高めることが可能です。
人体が直立二足歩行のために進化させてきた筋肉群をパワーアップするトレーニングがスクワットなのであります。
その効果はミリタリーでも広く採用されております。小銃を保持した状態でさまざまなバリエーションのスクワットを実施させられてしている陸軍や海兵隊の訓練を映画などでご覧になったことがあるかと思います。
スクワットを習慣に取り入れればスティーブ・ロジャース大尉のような美しい
スリム教導隊のスクワット
スクワットには多種多様なフォームやバリエーションがあります。
スリム教導隊のスクワットは可能な限りシンプルに、ポイントを3つに絞っております。細かいことを気にしすぎるよりも自分に合ったスタイルで実施・継続することが大事です。
スクワットのポイント
- 足のスタンスは肩幅よりも大きく
- 上半身はまっすぐのまま前傾させる
- ムリなく下げられるところまで腰を降ろす
足のスタンスを肩幅よりも大きくすることで大臀筋の活動と股関節を伸ばす力がより高まるという研究報告があります。同じスクワットをするならせっかくだから美しいおケツとよく動く機能的な脚を同時にゲットしてしまいましょう。
上半身を前傾させるのは、立ったり座ったりの挙動で大腿四頭筋を効果的に使うには身体の重心を足の中心からあまり前後させない方がよいとされているからであります。よく「スクワットはヒザをつま先より前に出すな」と言われるのと同じ理由です。
しかし、人によって体型のバランスは異なるので「ヒザ・つま先」の話はそこまで気にしなくてよいと思われます。
自分は座高がものすごく高いせいかヒザの位置を気にしすぎるとうまく上下動ができず、すぐイヤになります。重心の前後位置が足の中心からフラフラしないようにだけ気をつけましょう。
フォームを意識しながら可能な範囲で深く腰を下ろします。姿勢が悪くなってヒザや腰に無理な負荷がかかるのはNGです。特に腰は意識して少し反るくらいの方が上体をまっすぐに保てます。
「腕はどうしたらいいのか」という疑問がありますが、スクワットの主目的は脚の筋肉なので腕はどんなスタイルでもOKであります。オーソドックスに胸の前で組んでもいいし、ジャパニーズNINJAよろしく印を結べば気分も上がります。
中国拳法のように両腕を前方に突き出せば肩~上腕二頭筋あたりも同時に鍛えられます。好みのスタイルを見つけましょう。
さらに負荷をかけたければダンベルや小銃を持って実施することも可能ですが、負荷を上げると肝心の重心バランスが崩れやすくなりますので注意を要します。あくまでも太もも~おケツのトレーニングであることを忘れずに。
スクワットをやりやすくする
ダイエット初期でスクワットの実施が難しい場合、フォームを浅くするよりも、姿勢はそのままで少し負荷を下げる工夫の方が推奨されます。方法は大きく3通りです。
スクワットの工夫
工夫① 座ってしまおう
基本のフォームを意識しつつも「最後は座ってしまう」という手があります。
スクワットでもっともキツイ「腰が一番下がったポジション」の負荷を、イスなりベッドの端なりに座ってしまうことで軽くするのです。「座ってしまえる」という安心感から気持ちが楽になり、心理的なハードルも下がります。
足を広げて行うのでイスであればひじ掛けのないボックスタイプがオススメです。自分のヒザ高と同程度の低めのイスに軽く腰を降ろします。全高40cmくらいのイスが適しております。
どっすーんと腰を落とすと意味がない上に危ないので、あくまでも通常のスクワットのフォームを維持しながらゆっくりと上下します。
工夫② 手で支えてしまおう
腹~胸くらいの位置で何かに手を掛けてキツいスクワットの姿勢を補助します。
イスやソファーの背もたれ、テーブル、脚立、窓枠などに手を掛けて実施すると、フォームを維持するのが楽になって太ももにかける負荷に集中することが可能です。
手ごろな支えがなければ「懸垂バー」や「杖」を使うのもアリであります。
ドア枠に固定する懸垂バーは好きな高さに設置できるので、負荷を自在にコントロールすることが可能です。
4点支持タイプの杖であれば転倒リスクも低く、安心して体重の一部を預けることができます。場所を選ばず使える杖のメリットを活かして、リビングでテレビを観ながらの簡易スクワットは習慣化がしやすいです。
もちろん①②の併用もOKです。自分の現状に合ったスタイルを開発したいところです。
いずれも本来の用途と若干異なる使い方ですので、安全には十分にご注意ください。
工夫③ 思い込んでしまおう
物理的な工夫もさることながら、心理的にアゲる工夫も有効です。
この世に「巨大メカの発進プロセス」ほどカッコイイものは存在しない※ので、そのシーンに自身のスクワットを重ねます。
※個人の見解です。
オススメはやはりモビルスーツがカタパルトから発進するあのシーンであります。
RX-93 νガンダムやZGMF-X10A フリーダムのように背部に大きな重量物を装備したタイプがスクワットの姿勢にフィットします。
重量物を背負ったヒト型直立姿勢の足元に強力な前進ベクトルが発生すると後ろにひっくり返ってしまうので、カタパルト作動時はおのずと全身の姿勢は低く、上半身は前傾せざるをえないのであります。これはまさしくスクワットの姿勢そのものです。
試しに好みのモビルスーツのカタパルト発進に想いを馳せつつスクワットを行ってみてください。
ただし気分を上げすぎて「行きまーす!」と叫んだり「ドゥオオオ」とか効果音が口から出てしまうと家族仲に影響するかもしれないのでご注意を。
スクワットを習慣化して「なんか太ももが張ってないと気持ち悪いな」くらいに持っていければしめたものです。継続することに大きな効果を見込めるトレーニングですので、ぜひとも工夫をこらして身体に馴染ませていきましょう。
- スクワットはダイエット効果の高いトレーニング
- 大腿四頭筋をはじめとする脚の筋肉を鍛えられる
- 足のスタンスを肩幅より広げるとさらに効果大
- ハードなトレーニングだが工夫次第でダイエット初期でも実施可能