「終わったら1杯やりましょう」
強襲揚陸艦SCVA-76ネェル・アーガマ艦長 オットー・ミタス大佐から、旧敵であるスベロア・ジンネマン大尉にかけられた言葉です。
ユニコーンガンダムとバナージ・リンクス少年に導かれるように怨讐を超えて手を取り合った両軍の指揮官。
彼らが何を飲み、何を食べ、何を語らったのかはわかりませんが、明かされなかったそのシーンに想いを馳せながら「居酒屋で選ぶべきダイエットメニュー」について考察したいと思います。
不肖わたくしスリム曹長が、肥満ぎみであられるジンネマン大尉に意見具申させていただきます。
居酒屋ダイエットの基本事項
40男の居酒屋5か条
- 大食漢キャラは捨てる
- カロリーは気にしない
- 野菜・タンパク質を中心に
- 糖質系メニューは控えめに
- 肝臓をいたわる
宴会という名の戦場にあって、我われ中年男性は上記5か条を念頭に置くべきと考えます。
「1. 大食漢キャラ」は意外と多くの男性が陥っているのではないかと想像します。
話ベタでアルコールが苦手な自分は長い間このキャラ設定で飲み会を乗り切ってきました。それはもうお腹パンパンになるまで食べて、わずかばかり場を盛り上げたものです。
若いうちはともかく40歳を超えてまでやることではありません。キャプテンももう50代なんですから、くれぐれも軽挙妄動は慎まれるようお願いします。
「2. カロリー」は別途「脂モノは敵?味方?カロリー制限の盲点を見破れ」のレポートにてご報告したとおり、計算して精査するほど意味のある指標ではありません。宴席ではストレスにしかならないのでオミットいたします。
以下、宴会の時系列に沿って見てまいります。
前菜・つまみ
最初に食べる
- 野菜・海藻(サラダ、漬け物、もずく酢など)
- 大豆食品(枝豆、冷やっこ、納豆など)
「前菜・つまみ系メニュー」に期待したいのは、主に食物繊維による整腸作用です。
「野菜・海藻」、「大豆食品」のいずれかを、最初の一杯を飲む前に注文して一皿食べてから飲み始めます。
食事の最初に野菜を食べる戦術「ベジファースト」を宴席にも適用するのです。
食物繊維が豊富なメニューを最初に食することで、その後のアルコールや糖質の過剰吸収を抑制する効果が期待できます。腸内にIフィールドを展開するイメージであります。「YASAIフィールド」とでも呼称するべきでしょうか。
ドレッシングの添加物やマヨネーズの高カロリーを気にする向きもありますが、いずれもサラダにかかっている程度の量であればインパクトは極少であります。
ジャパニーズスタイルの「お通し」が、サラダやひじきのような野菜・海藻系メニューであれば幸いです。
「最初は乾杯」の儀礼に厳しい部隊であればビールを一口飲むフリで切り抜けます。部隊の皆さんに「駆けつけ一杯~!」などと煽られても、まずは冷静に前菜を食しましょう。
アルコール
お酒を選ぶ
- 〇 飲んでOK:
焼酎・ウイスキー・ブランデー・ウォッカなどの蒸留酒、ハイボール、辛口のワイン - △ 量をおさえる:
カクテルなどの甘いお酒、ビール・日本酒などの蒸留酒、梅酒
アルコール飲料が我われの肥満体の原因となるポイントは大きく2つです。
「①アルコール飲料自体に含まれる糖質」と「②肝臓がアルコールの処理に忙殺されて糖質の処理(グリコーゲン貯蔵)が追いつかないこと」であります。
①に関してはジュースと一緒で「カクテルなどの甘いお酒」と「ビール・日本酒などの醸造酒」の量をおさえることで対処します。日本酒をガブ飲みする人はあまりいないと思いますが、つい飲みすぎてしまうビールの量には気をつけます。
代わりに糖質の低い「焼酎・ウイスキーなどの蒸留酒」を選択します。間違ってもコーラやジュースの類で割らないように。
ウイスキーをソーダで割った「ハイボール」はダイエット向きのアルコール飲料といえます。自分の数少ない友人の中には「ハイボール一択」の人物もおります。
ワインは赤白とも醸造酒ですが、例外的に血糖値を下げるなどダイエットに効果的であるという報告が多いので、ガブ飲みしなければ問題ないと考えます。とはいえ、アルコールに関する研究論文は、どんなにもっともらしく書かれていても酒好き研究者の自己弁護フィルターがかかっていることが多々あるので油断できません。飲むならなるべく辛口を選びましょう。
②への対処は「肝臓に負荷をかけすぎない」ということになります。「イッキ飲みしない」「時どき水やお茶で休憩を入れる」「アルコール度数の高い焼酎は水などで割る」といった地味な戦術が有効です。アルコールが入った状態でどこまで冷静に対処できるかがカギと言えそうです。
いずれにせよガブ飲みは厳禁であります。・・・オ、オットー艦長! キャプテンを煽るのはやめてください!
メイン(タンパク質系)
以下に挙げるタンパク質系のメニューはおおむね推奨対象です。むしろダイエット中でも積極的に食すべきと考えます。
メインメニューの例
魚介類の刺身
青魚からはタンパク質だけでなく「DHA(ドコサヘキサエン酸)」、「EPA(エイコサペンタエン酸)」という必須脂肪酸が摂取可能です。煮魚・焼魚では脂質の多くが流出してしまうので、選択可能なら刺身を選ぶべきであります。
またサーモンに多く含まれる「アスタキサンチン」は抗酸化力が高く、血糖値の抑制効果が報告されております。
やきとり(鳥・豚)
「やきとり」カテゴリの串ものはいずれも優秀なタンパク質系メニューです。鳥だけでなく豚なども含みます。
特に亜鉛・鉄などのミネラルが豊富なレバーやハツといった部位は、苦手でなければ1本は食べておきたいところであります。
一般的に糖質が多く含まれる「タレ」よりは「塩」を選択するのがベターです。さらにレモンを絞ればビタミンCがミネラルの吸収を支援してくれます。
牛肉(ステーキ、ローストビーフなど)
牛肉に多く含まれる「L-カルニチン」は脂肪の代謝促進によるダイエット効果が高いという報告があります。
「食の欧米化で肉を食べるようになって肥満が増加した」と言われた時代には肉食が忌避されたことがありましたが、今ではその常識は逆転しております。優秀なタンパク質系メニューである牛肉料理を選択しましょう。
一年戦争で荒廃する前ならサイド6・テキサスコロニー産がよかったのですが・・・やっぱり戦争はいけませんね。
卵料理
卵の栄養に関してはとても語りきれません。卵はメリットだらけの準・完全食材であります。
「卵はコレステロールが多いから1日1個まで」と言われたのも過去の話、経口摂取されるコレステロールの影響は微々たるものだとわかってから「1日1個」の上限を唱える人はほぼいなくなりました。
だし巻き卵には糖質の多い調味料が含まれますが、1~2皿くらいの分量で気に病むレベルではないと考えます。
チーズ
とろけたチーズはカロリーが高そうなイメージです。しかしチーズは発酵の過程で乳糖の多くが分解されており、良質のタンパク質が摂れる優れた食材です。
あのトローリとした見た目のイメージだけで「太りそう」と思い込むのは早計であります。
ピザで注意が必要なのはチーズではなく生地の方ですので、選択可能であれば生地の薄いクリスピータイプを選びます。
要注意メニュー
以下は居酒屋ダイエットにおける要注意メニューであります。可能な限り避けるか、量を極少にとどめましょう。
要注意メニュー
揚げ物系
「高温で揚げた油」と「小麦粉ベースの衣」がリスキーな揚げ物系メニューは可能な限り回避します。
パーソナルジムでは「揚げ物の衣はぜんぶ外して食べろ」という指導が行われるほど危険視されております。
自分は唐揚げは比較的衣が薄いのでギリギリセーフと考えておりますが、気になる場合は揚げ物全般を回避します。
点心系
ギョウザ・シュウマイ・春巻き・小籠包など、小麦粉の皮に包まれた点心系のメニューも控えめにしたいと思います。
これらは野菜・タンパク質の具も多く、揚げ物ほどハイリスクではないと考えますが、やはり大量に食べない方が無難であります。
米・麺類
糖質主体の米・麺類も要注意メニューにカウントされます。
全カットまでする必要は認めませんが、量はおさえるべきと考えます。食べたとしても茶碗1杯程度を上限に設定します。
「チャーハンは油でコーティングされてるから大丈夫だ」という意見がありますが、あくまで同量の白米と比較した場合の話なので食べ過ぎは厳禁です。百式の耐ビームコーティング(何発も被弾すれば貫通する)程度の効果とお考えください。
最近は「冷めた米や麺の糖質は食物繊維に近い働きをするレジスタントスターチになるから大丈夫」という意見もあります。しかしこれも室温程度の冷め具合ではたいした影響はないという報告もあり、過信は禁物と考えます。
肝臓に負荷のかかるアルコールと同時に食しているという自覚のもと、米や麺類は量を抑えたいところであります。
デザート
デザートザクでありますか? あ、アイスとかケーキとかのデザートでしたか。失礼いたしました。
せっかく主食の量を調整しているのに糖質のカタマリであるデザートをガッツリ食すのは推奨できません。可能な限り回避行動をとるか、1人分の分量を守りましょう。
デザートを食べない人の分をかき集めてひとりで食べるのはNGであります。給食の揚げパンじゃないんですから。
「豆乳アイスだから大丈夫ですよ」などとミヒロ少尉に勧められたとしても冷静に。健康そうな見た目や名前であってもデザートには脂肪になりやすい糖質が含まれている場合がほとんどです。
何度も言いますが我われは飲酒による肝機能の低下状態にあることをお忘れなく。
いかがでしょうか、キャプテン。これでダイエット中でもネェル・アーガマの皆さんとの酒宴もバッチリです!
・・え、貴様の理屈で酒がまずくなる? いや、しかしそれを言っちゃあ・・・。
- 食事の基本を守り、大食漢キャラは捨てる
- 野菜・大豆系の前菜を飲む前に食べる
- アルコール飲料を適切に選ぶ。ガブ飲みしない
- タンパク質系のメインメニューはしっかり食べる
- 要注意メニューは避けるか量を減らす