ダイエット時の食材選びで参考になる数値に「GI値」があります。自分も一年戦争を戦い抜くにあたっておおいに参考にさせてもらい、おかげで生き延びることができました。
食事の「カロリー」だけに着目したダイエット法では「あれもダメ、これもダメ」となりがちですが、「GI値」にフォーカスした考え方であれば食材選びの自由度が比較的高く、栄養バランスの偏りも防ぐことが可能であります。
本稿では「GI値」について考察いたします。
「GI値」とは
「GI値」とは「グリセミック・インデックス(Glycemic Index)」のことで、「ある食品を食べた後にどのくらい血糖値が上がりやすいか」を数値化したものであります。
対象食品に含まれる炭水化物50gを摂取した際の血糖値の上昇度を「ブドウ糖=100」を基準に相対評価したもので、数値が大きいほど血糖値が上がりやすく、危険度が高いことになります。
GI表
自分がこんなカッコウをしているせいで誤解があるかもしれませんが、「GI値」と『G.I.ジョー』はなんの関係もありません。いや、どちらも同じ1980年代に提唱あるいはアニメ放送されていたこともあって、まったく無関係だとは言い切れませんが・・・少なくとも意味の上では関係ありません。
『G.I.ジョー』の「G.I.」は「Government Issue(官給品)」の略だとされております。これは「米兵」のことをさす俗称で、1945年の米映画『The Story of G.I. Joe』に由来するといわれております(Wikipediaより)。
ちなみに自分はちょうどアニメ『G.I.ジョー』がTV放映されていた頃に少しだけ米国に居住しておりまして、ブームの真っ只中でこれを目撃しました。男子の多くがフィギュアや戦車、航空機の玩具で遊び、ハロウィンには迷彩服でコスプレしていたものです。「ハロウィンってもはやなんの祭りかわからんよね」は、なにも現代の渋谷に限った話ではなかったのであります。
ダイエットと「GI値」
話が逸れました。
一年戦争においてGI値はおおむね「高い=危険」と考えます。すなわち、ポイントが大きいほど肥満の危険度が高い食品として「避ける」「減らす」「低GI食品と一緒に食べる」といった工夫が有効になります。
GI値「55以下」は「低GI食品=デブリスクは高くない」と考えてOKであります。果物、野菜、豆類の大半がここに分類されます。ただし、果物に含まれる果糖は、血糖値こそあまり上げないものの体脂肪になりやすかったりするので過信は禁物です。特に食物繊維を除いたジュース状での摂取には気をつけましょう。
「56~69」は「中GI食品=ちょっと量に気をつけよう」になります。数値が高そうなイメージの麺類の多くが意外とこのへんに位置するので、量さえ気をつければそこまでハイリスクではないといえます。ただし、「蕎麦だったらいくら食べても太らない」とかではないので誤解なきよう。素材のスペックはともかく、一気にかき込んだら血糖値も一気に上がってしまいます。
「70以上」は「高GI食品=意識して量・頻度を調節しないとアブないかも」です。白米やパン類の大半、お菓子類がここに分類されます。日本人の肥満の多くがこれら高GI食品の食べ過ぎに起因すると思われます。つまり高GI食品の警戒監視を怠らなければ、肥満を抑えられる可能性が高まります。
上図では高GI食品=赤、中GI食品=オレンジに色分けしております。米・パン・麺類、それに一部のお菓子、イモ類のGI値が高いことが見て取れます。
また、GI値は「カロリー」と必ずしも比例関係にないこともつけ加えておきたいと思います。「カロリーが高いから・・」といって肥満リスクの低い「肉・魚介・乳製品」カテゴリまで避ける「カロリー制限」とは食材選びが違ってくるわけであります。
「GI値」の注意点と「GL値」
以上のように、一年戦争で特に注意を払うべき食材を大別するのに「GI値」は有効な考え方であります。日々の食習慣において「白米をちょっと減らしてみる」「玄米に置き換えてみる」「低GI食品といっしょに同量だけ食べる」といった工夫を促してくれるので、頭の片隅に置いておくことを推奨いたします。
一方で「GI値」の概念には避けがたい欠点もいくつか存在します。公平のためにこれらも列挙いたします。
まず「GI値はそこまで正確性を求めるような数値ではない」という点です。研究機関によって採用する基準試料が「ブドウ糖」「白パン」「白米」と違っている場合があり、これによって各食品の数値が上下することがあります。また、同じ食材でも調理法や一緒に食べる食品などさまざまな要因によって血糖値の上下幅が大きく変わってきます。我々の食事コントロールにおいてGI値は「だいたいの参考」にしかならないことは承知しておきたいところであります。
ほかにも「血糖値スパイクの危険度を正確に表すことができない」という点も要注意です。GI値は血糖値の時間変化をグラフ化してその曲線が描く面積を数値化したものなので、長時間緩やかに血糖値が上がり続ける安全な食材が「高GI」と評価され、短時間で血糖値スパイクが発生する危険な食材が「低GI」に分類されてしまうことがあります。
また、GI値における最大の欠点として「対象食品に含まれる炭水化物50g」という評価基準が挙げられます。これは炭水化物が大半を占める砂糖や穀類と、もともと炭水化物をほとんど含まない肉類などを公平に評価することが実質不可能であることを示しております。「90gのうどん」と「25kgの肉」を同列に評価するようなもので、いくら肉好きでもそんなに食えるかってハナシでありますね。
そうなると「牛肉(もも)のGI値=46」っていったいなんの数字だよ、となります。自分は専門の研究者ではないので正確なところはアレですが、どうも食品の成分由来ではないほかの要因(消化活動のエネルギーのために血中に分泌されたなど)によって上昇したとかまで考慮に入れなければならないようで、「食品ごとの血糖値危険度」とはちょっとハナシが違ってきます。
これらの欠点を補足するため、ハーバード大学の研究チームが新たに「グリセミック負荷=GL値(Glycemic Load)」という指標を考案しました。これは「GI値」に「食品に含まれる炭水化物の重量」を掛け算した値で、GI値オンリーよりも「ある食品を一定量食べたときに血糖値が上昇する度合い」を表すのに適しております。
上図の右端にもGL値を加えてみました。肉・魚介類や野菜の大半が「0~1」という値になっております。炭水化物(糖質)をほとんど含まない食材ならそりゃそうなりますよね。
数値はぜんぜん違いますが、危険度分布としてはおおむねGI値に近いものになっているので、気をつけるべき食材はあまり変わりません。ただ、ジャガイモやニンジンを「この高GI食品め!」と、ことさらにいじめないでほしいのであります。食べる量と頻度だけちょっと気をつけてあげましょう。
あと、すでに糖尿病に罹患しておられる同志諸賢におかれては、当サイトをはじめとする第三者情報を鵜呑みにせず、必ず医師の指導に従ってください。
- GI値は食品ごとの食後血糖値の上昇度を表す数値
- GI値の高い食品に注意することで食材選びが可能
- GI値は正確性の高い数値でないのであくまで参考に
- 実際の食事に即した「GL値」も考案されている