卵は1日1個まで!? 「俺に・・俺に卵を食わせろ!」

スリム教導隊本部

我われの食生活と切っても切れない食品のひとつが「卵」であります。

 

栄養の観点でいうと卵は優秀なタンパク源として認知されております。

 

『機動警察パトレイバー』の劇中では、特車二課棟わきに建設されたニワトリ小屋で山崎ひろみ巡査が卵を確保し、劣悪な食事環境を少しでも改善しようとしておりました。上海亭の出前トラブル事件で壊滅の危機に瀕した後、整備班が総出でニワトリ小屋を増築していたことからも、いかに卵が重要視されていたかがわかります。

 

1個だけとは
どういうことだぁーっ!

ゆで卵、温泉卵、オムライスにすき焼き、チャーハン、卵かけご飯・・。卵を使った料理のバリエーションは無限といっても過言ではありません。

 

むろん現実世界のダイエットにおいても避けて通れない食品であります。

 

ところがです。

 

卵には「1日1個まで」という、なんだかレッテルみたいな悪印象が付与されていた時期がありました。それもけっこう長い間まことしやかに言われていて、自分も卵を食べながらそれが常に引っかかっておりました。

 

「こんなに卵を食べたらなんか健康に悪いのかな?」と。

 

この「卵の個数」命題は古今東西で賛否両論、さまざまな観点から研究されています。

 

はたして卵は1日1個までなのか? そもそも毎日食べてもいいのか?

 

本稿では「卵」について考察いたします。

「卵は1日1個まで」論

「卵は1日1個まで」論の主旨は卵に含まれるコレステロールの量であります。

 

たしかに卵はコレステロールを多く含む食品で、一般的なMサイズの卵1個におおむね200mg含まれています。厚生労働省の『国民健康・栄養調査報告(2019)』によれば日本人が1日に食事で摂取しているコレステロールは300㎎台とのことですので、卵1個だけで経口摂取するコレステロールの大半ということになります。2個食べたらもう平均オーバーですね。

 

これ捨てロール・・?

で、「食べたものがそのまま身体の成分になっちゃう」という昔からの感覚において、卵を食べ過ぎると血中コレステロール濃度が上がって動脈硬化その他の疾病リスクが高まると考えられてきたようです。

 

同じく厚労省の『日本人の食事摂取基準(2005)』では、1日のコレステロール摂取量の上限を明確に「成人男性:750㎎、成人女性:600㎎」と定めており、卵以外の要因も考えれば「1日に2個も3個も食うんじゃない=1日1個」となったわけです。

 

「コレステロール」って聞くだけで「なんか身体に悪そうだな」と感じてしまうわけですが、はたして自分の認識が「これ捨てロール」という親父ギャグの域を出ているかどうか。

 

このままではアレなのでもう少し深掘りしてみます。

健康なら1日1個以上OK

『日本人の食事摂取基準』は2015年と2020年に改定されており、そこでは2005版に明記されていたコレステロールの摂取上限が廃止されています。

 

細胞膜には
コレステロールを採用

研究が進むにつれてさまざまなことが見えてきて、すべての人に同じ数値基準を当てはめるのが理屈に合わなくなったようですね。地道な研究に取り組む専門家の方々と、それをわかりやすくまとめて発信する人たちには本当に頭が下がります。

 

「卵のコレステロールはそこまで気にしなくていい」というポイントはたくさんありまして、だいたい以下のような点が挙げられます。

 

  • コレステロールはもともと体内で合成される物質で、食事で摂取される量は全体の20%程度
  • コレステロールは悪玉の側面もあるが細胞膜やホルモンの材料になる脂質でもある
  • 肝機能が正常であれば体内のコレステロール量は一定に保たれるので、卵を食べたからといってそこまで血中コレステロール濃度は上がらない
  • 「卵の摂取量が多い人でも、心筋梗塞などの死亡リスクに差はなかった」という研究がある
  • 「卵を摂取すると体内のコレステロール量は微増するが悪玉コレステロールの比率は上昇しない」という研究がある
  • 卵に含まれる卵黄レシチンやオレイン酸に血中コレステロール量を抑制する効果があるとされている

 

という具合に「肝機能が正常なら」という条件はつくものの、おおむね「卵は1日1個まで」というのは制限が厳しすぎると考えられます。

やっぱり食べ過ぎNGの場合も

しかしながらこの「肝機能が正常なら」というのが意外とミソでして、強いストレスにさらされたり飲酒したりで我々の肝機能ってけっこう低下しがちであります。

 

肝臓はコレステロールだけでなくアルコールの分解や糖質の調整など、体内のあらゆる物質をコントロールするマルチタスク化学工場です。

 

日々ストレスにさらされて不調をきたしている肝臓には、正常なコレステロールの処理を期待できない場合もあるかと思います。

 

来るぞぉ・・・
嵐がくるぞぉーっ

特車二課のようにレイバー犯罪と戦い、榊整備班長には怒鳴られ、そのうえ食事情が劣悪な環境だともう最悪に近いですね。いくら頑丈そうな太田巡査といえども例外ではありません。

 

山崎巡査のニワトリが生む卵と東京湾で釣れるハゼでどうにかタンパク質を補ってるとか、上海亭がどうこう以前にすでに壊滅の危機に瀕している気がします。

 

他にも卵の食べ過ぎについてはさまざまな疾病リスクとの関連が研究されており、20年前に言われていたような「すべての人が1日1個まで」ということはないものの、「誰でも無制限に食べていい」とも言いきれないのが実情のようです。すでに糖尿病を罹患しておられる方には卵の摂取により心筋梗塞のリスクが上昇するという研究もあります。当サイトのような第三者情報を鵜呑みにせず、必ず医師の診断に従ってください

 

さらに研究が進めば今とはまったく違う常識が生まれるかもしれません。「10年後においては定かではない」のであります。

 

今はひとまず、ダイエットでタンパク質を多めに摂りたいといっても「卵ばっかり」は避けて野菜などバランスよく食すのが吉と心得ます。

 

観測評価
  • 卵はコレステロールが多い食品
  • 昔は「1日1個まで」と言われていた
  • 健康であれば卵のコレステロールはそこまで気にしなくて大丈夫

 

スリム教導隊_全景図

 

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