ダイエットにおいて食事のセレクトは重要です。
しかし「食べてOKのもの」と「食べてはNGのもの」を極端に分けるのはやや危険な思想であります。NGである理由を細かく挙げだしたら、たいていの現代食にはなにかしらNGを示すエビデンスがあるからです。
当スリム教導隊では「100点満点の食事はない」という理解のもと、「どちらかというとOK」のものをわりと広めに「OK糧食」と呼称して、毎日の食事に積極的に採用いたします。
本稿ではそんな「OK糧食」の中でも、優秀なタンパク質系食材である「チーズ」について考察いたします。
乳製品のOK・NG議論
牛乳、あるいは牛乳を原料とする乳製品には常に「OKかNGか」の議論がついてまわります。
カルシウムやタンパク質の摂取を目的に日本中の学校給食に牛乳パックが採用されている一方で、乳製品を多く摂取していると大腸がんの発症率が1.5倍になるなどの研究があり、専門家の間でも意見は一致していない模様です。
また、日本人に関しては「乳糖不耐症」という問題もあります。
これは牛乳に含まれる「乳糖(ラクトース)」を分解する消化酵素「ラクターゼ」の分泌が3歳前後の離乳と同時に停止(もしくは大きく減少)することで、牛乳を飲んで下痢などの胃腸不良を起こす症状のことをさします。
日本人だけがとくべつ牛乳と相性が悪いというわけではなく、哺乳類全般において授乳期の終了と同時に同様の傾向が見られます。むしろ伝統的に牧畜を行ってきた北欧では乳糖不耐症の発症率が低いなど、生活習慣や遺伝変異などの要因によって一部のヒトが例外的に乳糖不耐症を発症しない、という表現の方が正しいかもしれません。
人体の性質はそう簡単には変えられません。「自分は牛乳や乳製品と相性が悪い」と思ったら無理をしてまで摂取する必要はないと考えるべきであります。
ですよね、チーズ(CV.山寺宏一)さん。
「アン、アーン! (勘弁してくれよ! そうでなくても俺はニュータイプ研究所出身だってやっかまれてるんだからさ)」
チーズはダイエットOK糧食
そんな乳製品の中でも、例外的に多くの専門家に推奨されているのが「チーズ」であります。
その大きな理由として、乳製品で問題とされる「乳糖」がチーズの製造過程において「乳酸」に分解されることが挙げられます。ラクトースの欠乏によって我々の体内で分解できない乳糖のほとんどを、あらかじめ乳酸菌で分解してくれているのがチーズという食品なのであります。
栄養価の観点では、重量のおよそ20%がタンパク質で、肉類と同じく優秀なタンパク質系食材であるといえます。またビタミン・ミネラルについても多くの栄養素をバランスよく含んでおります。
デメリットもないわけではありません。チーズの種類によって「やや塩分が過多になりがちな点」と、「ビタミンCと食物繊維はまったく含まれない点」に注意を払う必要があるかと思われます。バランスが気になるなら食物繊維とビタミンC、それにカリウムを多く含む野菜類と併せて食すのがオススメです。サラダにモッツァレラチーズを乗せるのはグッドアイデアです。
ちょっと小腹が空いたときには肥満リスクの高いスナック菓子・焼き菓子などに手を出すのではなく、チーズを食べることをオトコの習慣にしたいものであります。
それにチーズには亜鉛も含まれているので、もしかしたら男性機能にもよい効果があるかもしれません。
という理解でよろしいでしょうか、チーズさん。
「アン、アーン! (大佐の『ララァ・スン』って寝言を聞いた女はかなりいるんだ!)」
プロセスチーズ
スーパーで売られているチーズの多くは「プロセスチーズ」と呼ばれる加工食品であります。
歴史的に酪農の定着が遅かった日本において、チーズが広く浸透したのは戦後になってからだと言われております。このころ日本に広まったチーズのほとんどが1950年代に製造が始まったプロセスチーズであり、ナチュラルチーズが受け入れられるのはそれよりだいぶ後の話です。
モッツァレラ、カマンベール、ゴーダ、チェダー、パルミジャーノ・レッジャーノなどなど、今でこそ馴染みのあるナチュラルチーズが日本に浸透したのは、つい最近のことなのであります。
プロセスチーズが開発されたのは1900年代の初頭、米軍の戦闘携行食として冷蔵不要の固形チーズが要求されたことが発端のひとつといわれております。ナチュラルチーズをさらに加熱溶解のうえ乳化剤を添加して固めるというプロセスを経たものがプロセスチーズです。
プロセスチーズは長期保存が可能である反面、不自然な加工や添加物を問題視する意見も存在します。「長くもつ」ということは、それだけ人の手が加わっているということでもあるからです。
自分はそこまで気に病まずにプロセスチーズを食べており、今のところ問題なくダイエットに成功しつつあります。糖質系のお菓子を無制限に食べていた頃よりずっと身体も好調です。
もし貴官が「よりカンペキを目指したい」とお考えであれば、冷蔵庫にナチュラルチーズを常備しておいてもいいかと思います。いずれにせよチーズはダイエットOK糧食ですので、日々の食事や間食に積極的に取り入れたいと考えます。
長持ちする食材にはそれなりの理由があるものの、あまり気にしすぎるのもよくないということですね、チーズさん。
「アン、アーン! (わかっている! ファンネルがなんであんなにもつんだ!)」
- チーズはタンパク質系のダイエットOK糧食
- 日本人には牛乳でお腹を下す「乳糖不耐症」が多い
- チーズは乳糖が分解されているので低リスク
- プロセスチーズよりナチュラルチーズがベターだが、いたずらにプロセスチーズを忌避する必要はない