サラリーマンをやっているとよく「数値で測れる定量的な目標を設定しろ」と言われます。
「契約を〇件獲得する」とか「売上〇億円」とか「〇〇を〇%にする」とか。
ムチャクチャなビジネス目標に閉口した経験のある同志も多いと思いますが、それが本当に達成可能であり、かつ達成感や充実感を得られる目標であれば立てる意味があります。適切な目標値には自分自身をつき動かすチカラがあるのであります。
ダイエットもまったく同様です。納得感のある数値目標を設定できれば長期戦を戦い抜くためのモチベーションが得られます。
しかし、MIA認定される直前にアムロ・レイ大尉がおっしゃっていた通り、夢みたいな目標を持ってやるといつも過激なことしかしないので、その反動でダイエットは失敗して世捨て人の心境に陥りがちです。
我々スリム教導隊が戦う相手は「すでに過剰になってしまった体脂肪」です。これをどこまで下げるのを目標とするべきかは人によって異なります。
本稿では「適切な体脂肪率の目標値」について考察いたします。
世の中にはスゴイ人がたくさんいるが
世界的に大活躍してメディアを賑わすトップアスリートの多くは、「体脂肪率ひとケタ」だったりします。
「あの野球選手は8%」だとか「このサッカー選手は7%」だとか、テレビでもよく紹介されております。スポーツ選手以外でも「EXILEの誰それは〇%」みたいなハナシもよく耳に入ってきます。
たしかに彼らのムキムキでバキバキな腹筋を見れば「スゴい」と思わずにはいられません。
しかし、すでに太ってしまった我われ中年男性が目指すべき体脂肪率は、はたしてそんなトップアスリートのレベルなのでしょうか?
「あの人は7%だってよ」なんて聞かされた日には「どうせ自分にはムリ」とか、「スタイルがいいからってチョーシに乗りやがって」などと、かえってイヤ~な気持ちになったりすることはないでしょうか? 自分はなります。人が達成したスゴイ結果を見せられるとやる気を損ないやすいタイプでして。
太りやすい体質の中年男性が体脂肪率ひとケタを維持する毎日は並大抵のものではありません。なかなか自分の意思だけでは続けられない質・量のトレーニングととともに、トップクラスの栄養管理と高額な食材を用いた適切な調理、それらを的確に分析してトライ&エラーをくり返す根気強さが必須です。だからこそ管理栄養士やトレーナー、あるいはライザップのように客観的にコントロールしてくれる第三者が商売として存在しうるのです。
数十万~数百万円のお金をかけられるならパーソナルジムの門を叩くのも選択肢のひとつですが、そうでない場合は自分で自分を動かして目標に向かっていく必要があります。
せっかくなので、本当に自分自身が結果を得るための「適切な体脂肪率の目標値」について、もう少し見極めていきたいと思います。
適切な体脂肪率は人それぞれ
フィクション世界の士官・下士官にはなぜか肥満ぎみの方が数多くおられます。
ランバ・ラル大尉、スベロア・ジンネマン大尉、ドレン少尉、それにデニム曹長・・・etc.
いずれ劣らぬ名キャラクターであり、存在感のある中年男性たちです。私見ですがミリタリー作品の魅力は作中に登場するオッサンの腹まわりと比例関係にあるように感じます。
マルコ・パゴット元大尉にいたってはブタですし。
あまりに多すぎるのはもちろんNGですが、体脂肪というのは人体にとって必要な組織です。エネルギーの貯蔵、体温の保持、衝撃から内臓を守る、臓器を定位置に保つなどなど、体脂肪が果たす役割は多岐にわたります。体脂肪は本来、大事な生命維持装置なのであります。
同じ体脂肪でも疾病リスクが高いのは内臓脂肪であって、皮下脂肪はそこまでリスキーな存在ではありません。また、朝夕の体水分の移動によって数値が大きく変わることもあって、メタボの診断基準にも「体脂肪率」は採用されておりません。
体脂肪率はダイエットの目安のひとつにすぎないということは押さえておきたいと思います。
「体脂肪は減らせば減らすほどいいというものではない」という理解のもと、目標値をどのあたりにセットするべきかを考えてみます。
目標値を設定する
「戦略目標○○キロ!除脂肪体重から目標体重を算出せよ」のレポートにてダイエット目標の設定について触れましたが、実際に体脂肪率の目標値はどのくらいに設定するべきでしょうか。
先述のとおりメタボの医療診断基準に採用されていない体脂肪率については、コレといった明確な指標はありません。代わりにさまざまな参考値が提唱されておりますので、それらをもとにおおまかな値を設定したいと思います。
結論から申しますと、最初に設定するべき体脂肪率の目標は「20%」くらいが適当であると考えております。これは世に多い「30歳以上の男性の適正値=17~23%」あるいは「20%以上=軽度の肥満」とする参考指標を基にしております。
自分自身の経験からも、この「20%」という数字にはある程度の納得感があります。
推定体脂肪率が30~35%だった一年戦争初期にはベルトの上にドデンとはみ出していた腹の肉が、20%前後に達した頃にはほとんどなくなりました。ベルトの穴は4つ移動し、履けなかったスリムフィットジーンズが履けるようになったのもこの頃でした。
うっすらと腹直筋の形が見えはじめ、身体の動きが軽快になったことを強く感じられて、精神的にもだいぶポジティブになれたタイミング。それが「体脂肪率20%」に達した時期でありました。
「20%」に達することができて初めて、そのレベルを維持するか、あるいは次の「15%」を目指すかの選択肢が生まれます。仕事や家庭を持つ中年男性のダイエットにおいて「15%」を目指すのはむずかしい場合があるので、まずは「20%」くらいの無理のない目標値を設定するのが有効であると考えられます。
ちなみにですが、ブタの体脂肪率は15%くらいなんだそうです。空を飛んでいようがいまいが、パゴット元大尉はただのブタではなく自分より引き締まった筋肉質だったのです。
カッコいいとはどういうことか、いまいちど冷静に考えながら達成可能なダイエット目標を設定したいところです。
- ダイエットに夢みたいな目標は禁物
- 体脂肪率はダイエットの指標のひとつ
- 適正値は人によって異なるが、まずは「体脂肪率20%」を目標とするのがオススメ
- さらに上を目指すかどうかは「体脂肪率20%」を達成してから