自分は腹筋運動が苦手であります。
世の中には効果的な腹筋運動がさまざま存在しますが、残念ながら自分は学生時代からこのかた腹筋運動が得意だったためしがありません。
しかしながら、スリム体型を目指すダイエットにあたって腹筋まわりの知識と運動ノウハウをおさえておくことは(やる・やらないはともかく)非常に有益です。
本稿では「腹筋運動」について考察いたします。
「座高」というレッテルと昔の腹筋運動
いきなり私事でたいへん恐縮ですが、自分は座高がものすごく高いです。
中学生の時分から身長170cm台に対して座高は1mを超えておりました。
身長はクラスの後ろの方でそこそこ自信があったのですが、なにしろ衆人環視で座高というイマイチなスペックが公表されてしまう悪夢のイベント、身体測定はものすごくキライでした。
ナイーブな中学生でなくダックスフントだったら商品価値につながったのかもしれませんが。
ところがこの座高の測定、なんと2014年の学校保健安全法施行規則の改正を受けて2016年には撤廃されたそうです。
以前は座高の高さが内臓の発達度合いの指標だとされていたのが「あんま意味ないんじゃね?」ということで廃止されたとか。
そうか・・今の子供たちはあの屈辱を味わわなくて済むのかという感慨とともに、自分と湘北高校の青田君が受けた汚辱はいったいなんだったのかという疑問も。
ともあれ、座高が高いとなにが困るっていわゆる昔の体育の「腹筋運動」がまともにできなかったのです。
あの頃の腹筋運動は、パートナーに足首を押さえてもらって自分の上半身を起こす動作をくり返すものでした。
「ヒジをヒザにつけろ」とも言われていた気がします。
これが座高が高いとかなり大きな反動をつけないと仰向けの姿勢から起き上がれないのです。
クラス全体のペースに合わせようと一生懸命に上体を反らし、床にしこたま腰をぶつけながら反動をつけて起き上がってをくり返しておりました。
当然ながらこのような動作が腰に良い道理などなく、今でも自分は腰痛と腹筋運動に対するコンプレックスを払拭できておりません。
「部分やせは可能かどうか」問題
ことダイエット目的に限定した場合、腹筋運動は疑問符がつけられているトレーニングです。
カッコよく割れた腹筋を得るには負荷の高い腹筋運動をくり返すべきなのは自明ですが、それ以前の問題として、そもそも腹筋の上についてる皮下脂肪をなんとかしないことには割れている腹直筋を誇示することもできないのです。
そして「腹筋運動はお腹の脂肪を減らす目的の運動行為としてはあまり有効でない」というのが多くの専門家の共通見解であります。
「腹筋運動はムダ」ということではなく「その前にお腹の脂肪を落とさないと」ということです。
お腹の脂肪に対してピンポイント攻撃、いわゆる「部分やせ」ができれば苦労はなさそうです。しかしこれまた数多くの専門家が「部分やせは科学的にありえない」と口をそろえます。
脂肪細胞のエネルギーは必ずしも稼働箇所の付近から順番に消費されるわけではないのです。
両脚にメインジェネレーターを有するゼータガンダムであれば「右脚を動かすのに右脚のエネルギーを使う」こともありえるでしょうが、人間の場合は「腹筋を動かせば必ずお腹まわりの脂肪を消費する」ことにはならないのであります。
全身の有酸素運動か、腹筋より大きな脚の筋肉を使う運動の方が脂肪燃焼効果が高いとされております。
代表的な腹筋運動
くり返しますが腹筋運動がまったくムダというわけではありません。
自分も体脂肪がある程度落ちた段階から週1~2回程度はおこなっています。
以下にスリム教導隊で採用している代表的な方法を3点挙げたいと思います。いずれも無理のない範囲で、念のため腰を痛めないように体操マット等の緩衝材を用意のうえ実施します。マットの用意が難しければザブトンでもOKです。とにかく腰を痛めないようにしましょう。
代表的な腹筋運動
クランチ
マットの上に仰向けに寝た姿勢で膝を曲げ、腕を胸の前で組みます。
ヘソを見ようとするイメージでゆっくりと上体を起こします。
「昔の腹筋運動」や「シットアップ」と呼ばれる、腰から上体まで完全に起こすタイプの運動ではありません。
図のように肩甲骨のあたりまでゆっくりと浮けばそれで十分なので、フンフンと反動をつけないようにします。
レッグレイズ
仰向けにまっすぐ寝た姿勢で、手は横に置いて身体を保持します。
まっすぐ伸ばした脚をそのまま直上までゆっくりと持ち上げます。
持ち上げた脚を今度は元の状態までゆっくりと降ろします。
クランチと同じくフンフンと張り切りすぎると腰に負担がかかりますのでダメージコントロールは万全に。
プランク
うつ伏せの状態で身体を一直線として、肘とつま先だけで保持する姿勢をキープします。
腹部を始めとする体幹部の筋力が低いうちは姿勢が崩れがちなので「ぜったいに1分間やる!」と決めてかからずに10~20秒くらいからスタートするべきかと思います。
海兵隊ではケツが上がったり下がったりしていると容赦なく罵声が飛んでシバかれるところですが、どうしてもキツければつま先ではなくヒザをついてもそれなりに効果があります。
その場合もただの四つん這いの姿勢にならないように、体全体をまっすぐに近い形に維持します。
「運動のために寝っ転がる」のがそもそも苦痛な場合
上記はいずれも横になっておこなう定番の腹筋運動です。
経験上、男性特有のお腹まわりの脂肪が落ちていない段階でうかつに腹筋運動に手を出すと「運動のためにマットを出して横になって・・」というプロセス自体がイヤになり、戦線離脱の確率が高まります。
スリム教導隊ではヘタな運動より「自信」と「継続」を優先いたします。ダイエット成功をあやうくする自信喪失の芽を摘みましょう。
立った姿勢でも腹筋を使う機会はいくらでもあります。身体の中心に位置する腹筋は、他のさまざまな運動行為に連動する形で知らず知らずのうちに使われているものです。
以下、日常的な立ち姿勢の中にも腹筋運動が含まれている例を見ていきたいと思います。
立ち姿勢の腹筋運動の例
立ち小キック、中キックの姿勢でも腹筋は使う
人間は直立している状態でも全身の筋肉を使っています。
上体を前後左右いずれかの方向に傾けたり脚を上げたりの姿勢をとれば腹筋や腰まわりの筋肉が総動員されます。
いわゆる「立ち小キック」「立ち中キック」のような片脚を少し上げた姿勢はその一例です。
上げた方の脚の側の腹を(ぐっと奥まで)触ってみれば、腹筋が硬くなっているのがわかるかと思います。
前蹴りの姿勢では腹筋の前の部分が、横蹴りの姿勢では体側の筋肉が動員されます。
余談ですが自分は高校生の頃にガイル少佐の立ち大キックのフォームに強い憧憬を抱いておりました。しかし少佐を少佐たらしめる「タメ」を解除しなければ見られないのは痛恨事でありました。
少佐ほどスゴいフォームでなくても、小キックや中キックの姿勢で十分に腹筋は使われております。
「ジーク・ジオン!」で国民だけでなく腹筋を動員
脚だけではありません。
腕を大きく動かすパンチの動作も腹筋を始めとする上体の筋肉を動員します。それも前方向に限らず、天に向かって突き上げる動作も強く腹筋を使います。
ためしにギレン閣下のご発声に合わせて「ジーク・ジオン!」とこぶしを振り上げていただきたい。
それもただ腕を上下させるのではなく、棄民たる宇宙移民の嘆きや無慈悲な連邦政府への怒り、不当に排斥された同志たちの無念をこめて、力強く天に向かって振り上げるのです。
腕を振り上げた側の腹筋を触ってみれば、いかにこの姿勢で腹筋を使っているかがわかります。
10回も唱和すればヘタなクランチよりもよい腹筋運動になるかもしれません。
ただし屋外で過激なシュプレヒコールをおこなうと治安部隊が飛んでくるかもしれませんので、人目につかない室内でおこなうべきと考えます。
さまざまな日常動作の中にも腹筋運動が隠れていることがおわかりいただけるかと思います。
たとえ定番の腹筋運動が苦手であっても「自分はちゃんと腹筋を動かしている」という自信を持っておきましょう。
- 腹筋運動は腰を痛めるリスクに注意
- 腹筋運動による腹まわりの「部分やせ」は期待できない
- 定番の腹筋運動はある程度脂肪が落ちてからで十分
- 立った姿勢でも腹筋は使っている