自分がダイエット中、たびたび陥ったのが「朝と夜ならどっちが運動効果が高いか」という疑問でありました。
実際にはどんな時間帯でもどんなしょうもない運動でも「やらないよりやった方がマシ」なのは明白であります。自分の性格上、「朝と夜」の命題を持ち出すのはだいたい目の前の運動を回避しようとするデブ因子が働いている時でして、ブヨブヨの肉体を運動に向かわせるには「この時間帯なら効果があるよ!」と、それなりの理屈づけが必要でした。
我ながらホント面倒な性格をしているものです。ただ、運動の「朝と夜」論がダイエットにとって有益な情報なのは間違いありません。たとえ運動がとことんキライでも、このポイントを押さえておけば最小限の運動でも大きな効果を期待できます。
本稿ではアニメ『天空の城ラピュタ』に登場した女性2名をモデルケースに「朝と夜の運動」について考察いたします。
朝型と夜型
『天空の城ラピュタ』には対照的な女性が2名登場します。ヒロインのシータ女史と映画史に残る名キャラ・ドーラ船長(以下、敬称略)です。毎年のように金曜ロードショーでご覧になっている同志諸賢はもちろんご存知ですね。
シータは少女らしい可憐さと優しさ、自分を犠牲にしてでもパズー少年を守ろうとする強さを併せ持った理想的なヒロインです。同時に、パズーのトランペットで朝日と共に目覚めるシーンやゴンドアの谷で陽光のもと毛長牛の世話をするシーンなど、「朝型」のイメージが強いキャラクターでもあります。
一方のドーラは海賊という職業柄、「夜型」の印象があります。冒頭の飛行船襲撃やシータ(というか飛行石)を強奪するために軍の要塞を強襲する作戦は、いずれも夜間に決行されています。
朝型・夜型という真逆のイメージと同様、二人は見た目にも大きな違いがあります。細身の少女とゴリゴリの女海賊。いったい何が二人の体型にここまでの差を生じさせてしまったのでしょうか。
痩せたいなら朝トレ
人は朝起きて夜寝るものです。都会の喧騒と無縁な山あいで、ラピュタの超科学もアテにすることなく健全な生活を送ってきたと思われるシータにはどこにもデブ要素がありません。
もしシータが肥満体型だったら上層階からの落下をまともに受け止めたパズーのダメージはあんなもんでは済まなかったでしょう。それ以前に「空から女の子が!」とか言う間もなく落っことしてしまったかもしれません。
日の出とともに重たい水を運んだり毛長牛の世話をしたりと、朝から身体を動かす生活。夢のようなスローライフですね。
朝から身体を動かすことには大きなメリットがあり、そこには我われの神経系が深く関わっています。
我われの体内で無意識に働く自律神経系は「交感神経」と「副交感神経」に大別されます。これらはどちらも生命維持に欠かせない活動を司っていますが、おおむねトグル関係にあって正反対の役割を担っています。
交感神経は「活動」を、副交感神経は「休息」を担当しています。
人間はもともと昼行性ですので昼間は交感神経系が働くようにできています。が、建物やら電気やらの人工物に囲まれて本来の日の出~日没の時間と関係ない時間帯に活動しているせいで、この神経系の切り替えがうまくいっていない場合が多いようです。日中に交感神経がちゃんと目覚めていないと、本来なら普通に生活してるだけで消費できるはずのエネルギーがちゃんと消費できない、すなわちデブになりやすいというわけです。
そこで、意識して朝の時間帯に運動して交感神経をバッチリ起動させることで、そのあと一日の基礎代謝・活動消費を爆上げすることができるという寸法です。朝の運動そのものの消費カロリーより、交感神経を正常に機能させることによる消費が期待大なのであります。
実際、朝に運動した場合としていない場合を比較した実験では、日中の活動がほとんど同じでもエネルギーの消費量に大きな差が確認されています。
パズーのトランペットで目覚めて朝日を浴び、ハトに餌をやってから体操して一日をスタートする。うーん、なんて健康的なんでありましょうか。
筋トレなら夜
一方、夜型の活動を生業としているドーラは、お世辞にもスリムとは言い難い体型をしています。元はシータと同じルックス(!)だったはずなのにこの違い。あれだけ執拗に飛行石を求め続けたのは、もしかしたら若い頃より重くなってしまった身体がイヤで仕方なかったのかもしれません。
それでも20代の息子たちをぶっちぎる脚力に重そうな大口径砲を片手で振り回す腕力、操縦が難しそうなフラップターを自在に扱う飛行センス。すさまじい身体能力ですね。「飛行石なんかいらないんじゃ?」と思ってしまいます。
夜に運動するメリットとしては、「身体パフォーマンスの向上」と「筋肉が増大しやすい」という2点が挙げられます。
一日のうちで最も体温が高くなる夕方~夜の時間帯には筋肉のパワー・反射速度・柔軟性がいずれもピークを迎え、呼吸機能など身体全体のパフォーマンスが向上します。また、「晩メシ⇒寝る」の時間帯である夜に負荷の高い筋トレを行うのは、夕食で上昇した血中アミノ酸を睡眠で筋肉に取り込む絶好のタイミングであります。
ドーラの場合、あれだけ豪快に飲んで食って一日5食の生活を送ってれば、夜型とかあんまり関係ないのかもしれませんが。
ともあれ「ダイエットなら朝トレ」「筋トレなら夜」という傾向は、ぜひ押さえておきたいと思います。ただし「飛行戦艦を呼び寄せた」という無線を傍受しても夕飯をぶちまけたりしないように気をつけましょう。
- 朝と夜で運動の効果は異なる
- ダイエットなら朝トレ
- 筋トレなら夜